1995年1月23日 日刊工業新聞 
 

『漁網機械に参入』

金型メーカーの伊藤製作所は、経営不振に陥っていた漁網の編網機械メーカー、谷村製作所、社長谷村好美氏の事業を引き継ぎ、漁網機械分野に参入した。このため「漁網事業部」を新設、漁網機械分野での初年度売上高を3億6000万円と見込んでいる。谷村製作所は休眠会社となる。
谷村製作所は1933年創業の漁網機専業メーカー。「タニムラ」ブランドの編網機は国内の漁網生産メーカーで65%、海外漁網メーカーでは50%のシェアがあり、タイ、インドネシア、ペルーなど約40カ国で2000台が稼動している。しかし、74年に製販合弁後、漁網業界の不振の中で経営が悪化、銀行主導による再建を進めてきた。

伊藤製作所は谷村製作所の従業員12人全員を採用した。漁網事業部はこの12人と社内の配置転換による4人を合わせて16人体制でスタートした。同事業部は「タニムラ」ブランドの編網機の製造販売と既存ユーザーへの部品供給を行なう。編網機の生産は月間3台を計画している。既存ユーザーに供給する部品は消耗品であるシャトル、ベアリングなど。
同事業部は5年後に年間売上高6億円を予定、目標の売上高を達成した時点で、子会社化する計画。
伊藤製作所の年間売上高は95年3月期で13億円の見込み。今回の支援は銀行が仲介して具体化した。