2009年1月 謹賀新年 
 

アケマシテオメデトウゴザイマス イトウセイサクショフィリピン工場スタッフ一同

謹賀新年
新年を迎え皆々様のご多幸をお祈り申し上げます。

 昨今、マスコミからリリースされる報道はかつて無く暗いことばかりが目立ちます。世界同時不況・世界規模の金融危機・大幅な人員削減・大手セットメーカーの減産及び減益・発注済み設備のキャンセル・年末賞与の減額等々どれを取っても残念ながら明るい話題は無いようです。
 昨年秋ごろからサブプライムローン問題が米国ウオール街だけではなく欧州の大銀行に飛び火しました。ところが本年9月の大投資銀行リーマン・ブラザーズの投資銀行に留まらず、大手保険会社のAIGまで3兆円の赤字を出し窮地に立ちました。日本の"失われた10年"の時の金融危機は国家の財政赤字が巨額になったと言う、負の副産物はありましたが、日本1国だけの限定されたものでした。世界に飛び火した今回の金融危機に対して起死回生の一発妙案と言うものは見当たらないと言われています。
 例年、産業界のトップが新年の抱負を語るに当たり、身を引き締める意味で毎年厳しい予想を立てることが多かったのですが、今回の不況は上記の理由で、今まで経験した中で最も厳しいものと言って過言では無いでしょう。我々は今日まで多くの難関を乗り切ってきましたが、今回の不況は通り過ぎたそれとは比較にならない大きなハードルとなるのでしょうか。
 しかし、立ちはだかる多くの諸問題に考えすぎて恐れをなすことは何の前進にもならないと思います。上場企業の場合、株価や株主に対する配当等減益は大きな問題となるでしょうが、中小企業の我々は「3年間を通じて欠損が出ないのであれば減価償却は進み、社員が給与をいただける意味で前進なのだ」などと生き残りを考えることが必要ではないでしょうか。勿論、国の税収を考慮すれば大きな問題であることは事実ですが。
 このように、数年先の日本経済が誰にも予測がつかないほど困難なこの時期に中小企業が過去のごとく前進し続けることは至難の業でしょうが、類まれなモノづくりのDNAを持つ日本の製造業は、今こそ困難を打ち破り生き残りの策を真剣に進めなくてはいけない時期と言えます。
 得意先のお陰で会員各社は今日まで大変忙しい経営をされてきたと思います。「金はあるが時間が無い・・から、金は無いが時間はある」時代になって来るでしょう。多忙だったため、過去に出来なかった新技術の開発・社員の幅の広い教育・合理化や品質管理の手法を見直し・徹底した無駄の排除、知人と親しい交友など、今までに出来なかったことを全力で取り組み、来るべきステージに備えて手を打つチャンスと考えることも良いのでは無いでしょうか。
 日本の中小製造業の発展が、日本の工業製品の世界に対して優位性を維持できることであると信じています。あれほど元気の良かった工作機メーカーの皆様からは早くも悲鳴が聞こえてきました。金型製造業は皆様から全方位でご支援をいただけることで成り立っているのです。共に歯を食いしばって努力をし、共に良い日が来るまで頑張ろうではありませんか。
 急激な円高になる半年前までは中国や近隣諸国の金持ちが日本のデパートや秋葉原で手に持てないほどの買い物をしていました。中国人のお客によると「日本には偽物がないから」と言いました。中国は世界の工業国と言われていますが、国営企業の製品で我々が魅力を感じる工業製品があるでしょうか。ある程度の期間が経過すれば、必ず日本の魅力的な工業製品を再び世界のユーザーに過去にも増して買っていただけることを信じたいものです。

 皆様にとって今年も良い年であることを祈願いたします。

株式会社 伊藤製作所 
代表取締役 伊藤澄夫